2.念願のボストン交響楽団を見て

小澤さんが1973年、38歳のときから指揮をしてきたボストン交響楽団。私がようやく行くことができたのは、1999年5月のコンサートだった。このあと、2002年まで、第13代音楽監督としてボストン交響楽団を指揮したのだが、その1999年はちょうど就任25周年だった。

アメリカのビッグ5といわれるオーケストラの中でも老舗のボストン交響楽団。ここの音楽監督を20年、30年務めるのは、誰もが想像するように並大抵のことでできるものではない。一流の演奏家である団員たちが納得する実力、しかも常に新しいものを提示するチカラがなければならない。さらに、民間からの多くの寄付で成り立つアメリカのオーケストラは、コミュニティの一員であり、社会的信頼、コミュニティとの意思疎通も欠かせないのだ。

そんな中での25年。かつてのボストン交響楽団は、それまでの指揮者、ミュンシュが創り上げたフランス系の軽い音を得意とするオーケストラだった。小澤さんはカラヤンにも師事し、ベルリン・フィルでもしばしば指揮をするなどドイツ音楽を勉強してきたため、ドイツ・オーストリー系のパワフルで深い音の曲もきちんと演奏できるように、音色の改善に力を入れた。これには、「音が濁る」と団員たちは初め納得しなかったが、ボストン交響楽団の音色を消すものではないし、実力のあるボストン交響楽団ならできると言って説得したそうだ。

そしてベートーヴェン、ブラームス、マーラーなどドイツ音楽のレパートリーを増やしていくうちに、美しい色彩の音色やニュアンスがありながらも深い音の出せる、幅広い表現力を持つオーケストラに変わっていったと言われる。この夜のコンサートでは、そんなボストン交響楽団をたっぷり堪能することができた。曲目は、ベートーヴェンの、「レオノール」第三番、ベルリオーズの「ロメオとジュリエット」から3章、そしてバルトークの「管弦楽のための協奏曲」

中でも「管弦楽のための協奏曲」は特に素晴らしかった。導入部分のうまい音のバランスにたちまち魅了され、それぞれのパートが寄り添いあったり離れたりしながら紡いでいく音のドラマは、私たち聴衆の心をひと時も離さなかった。

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